| 1986年晩秋のある晩、北京。いくらか散歩をしている人がいる中、武装した護衛兵の一団が天安門広場に巣まっていた。
人民大会堂の中では、豪奢なライトが大理石のフロアを明るく照らしていた。この時、当時の首相趙紫陽は、浙江会堂にて、 重要な外国来賓との会談をしていた。彼の秘書を除いて、誰も会議室に足を踏みいれることは許されない。 ほかのスタッフはみな、会議室の両側にある、小さな待ち合い室にいるように言い渡されていた。 趙首相の私秘書であった李建軍も例外ではなかった。總理が接見の間に入ると、 静かに待ち合い室の角に身を置いた。その場所で目を半ば閉じ、 手足をりラックすさせると、まもなく瞑想の状態に入るのだった。 仲間たちも、彼がそうするのは何度も見ていたので、決して驚きはしなかった。 ゆっくりと李建軍は、無の境地へと入っていく。 彼が唯一知覚したものは、 暖かい光の明滅がもたらす心地よさであった。 目を開けて、その光源を見ると、それはシャンデリアについた水晶玉が反射しているのだった。周囲の磁場エネルギーが、なめらかに彼自身の持つかと融合しているのを感じると、水晶玉が彼の力に多大な影響を及ぼすと言うことを再認識した。また、そのことで彼は1年前の出来事を思い出したのだった。 |